土曜の朝と黒い犬
いつもは家から5~6キロ先の公園まで車で行き、30分程朝のウォーキングをしているが、昨日はもう少し近い幹線道路沿いを歩くことにした。歩道も広くてわりと歩きやすい。
朝7時過ぎのためまだ交通量も少なく、登校する子供たちもいない土曜日の朝。田舎はほぼ誰ともすれ違うこともない。
折り返し地点で引き返そうかと思ったところに現れたのは一匹の黒いワンちゃん。柴犬風か、たぶん雑種の子だと思う。
首輪はつけているけど、リードが外れている。周りを見ても飼い主らしき人もいない。「おはよう。どうしたの?」と声をかけると私の顔を見て少し近づいてきた。
このまま私について来たとしても、うちでは一時預かりさえ難しい。この子の家や飼い主から離れてしまわないよう、そっとしておこうと思った。車の通りが少ない時間帯とは言え、道路を横切ったりしたら危ない。きっと家は近いところなのだろう。
と、思うことにした。すぐ近くには民家がないところだけど・・・
目を合わせず私は歩きだすと犬はついてくることはなく、別の方向へトコトコと歩きだした。少し離れてから振り返ってみると、ああ、やっぱり。
黑い犬は幹線道路を横切って道の反対側に移動している。ちょうど車が途切れた時だが、信号が変わりスピードを落とさず一台のトラックが近づいてきた。
(やめて、やめて!お願いどうか無事に渡りきって)心の中で祈った。
ワンちゃんはどうにか道の反対側に渡り、草むらに入っていった。
ホッとしたけれど、あの後あの子がちゃんと家に帰れたのか気がかり。
Twitterで迷い犬探しています、等の情報が出ていないかチェックしてみたけれど、特になかった。田舎だし、仮に飼い主が高齢だとしたらTwitterに情報だそうなんて思わないだろう。
間もなく寒い季節がやってくる。どうかあの黒いワンちゃんが無事に家族の元に帰っていますように。